星屑のストーリー
夜光虫を見に
シーカヤックで夕方から沖に出た
夕暮れのピンク色の空に向かって
ただパドルを漕ぐ
更けていく空に
海の色も更けてゆく
夢中になってパドルを漕いでいると
キラキラ、キラキラと夜光虫が瞬きはじめる
手を、海の中でバシャバシャさせると
沢山の小さく儚い光りの世界が拡がる
Kちゃんが
「空から降ってきた流れ星の星屑が
海に落ちて、そのカケラが夜光虫として
海で光るんだよ…きっと。」
と言った
私は、そのロマンティックな話を
もしかしたら、本当にそうなのかもしれないと思った
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大感動の夜光虫ツアーの翌夜は
一転して大荒れ
子産石の高台に住む
Aさんのおうちにお招きいただいて
素朴で美味しいお料理と
美味しいお酒と
生まれたばかりの
ベイビーちゃんとの楽しいひと時を過ごさせていただく
ハッと、外に目をやると
大粒の雨と共に
天からゴロゴロピカピカ
地を轟かすくらいの激しい雷の大群が
何時間にもわたって
轟音とともに大海に落ち続ける稲妻
暗黒の空を何度も大きく光らせて
なんともいえない気持ちにさせられる
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人はいろいろなものを
試行錯誤に造るけれど
日々、刻々とうつりかわる
自然の創造力とエネルギーには到底かなわない
…と海の近くにいるといつも思う
人の作り出す素晴らしいモノタチも
感動させられるモノタチも
全て自然から生まれてくる発想なのだそうだ
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だからこそ、自然と共に生きて
難しいものにとらわれずに
自由に人生を思い描いて
ココロが動くものとともに
シアワセに、あくせくしないで
大切な人たちを大切に想いながら
様々なモノタチ、ヒトタチを思いやりながら
自分のできる範囲を精一杯
生きればいいと思う
宇宙や、地球の一生に比べたら
私の一生なんて
ほんの一瞬瞬く夜光虫の光のようなものなのだから
そして、いつも、いつも、
星の王子様を読んだあとのような気持ちで
いられたらと思う
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ものは心で見る。肝心なことは目では見えない。
by Antoine de Saint Exupery 新訳 池澤夏樹(『星の王子様』より)