うつり行く時代の中で


外玄関から内玄関への風景
昔の田舎の家は
どこもこんなんだったのだろうと思います
…少なくとも、広島の山奥にあるこの地域はこんな感じです

朝になると外玄関の鍵を外して
誰もが声をかけて入ってこれる構造

たった50年そこらで
日本は住まい方も暮らし方も
大きく変遷を遂げてきたということが
この玄関だけでも感じられます

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父と母の小さいころは
キッチンも土間で
薪を焚いて朝晩のご飯を作っていたそう
お風呂も薪を焚いて五右衛門風呂

だから、裏の畑での薪割りも日々の日課

洗濯機なんてものはなくて
井戸からくみ上げてきた水で洗濯板を使ってお洗濯
冷蔵庫も氷屋さんから氷を買って
庫内を冷やしていたそうです

写真にうつる幼き頃の父の家族写真には
祖父母含め、まだ、ほとんどが着物姿

テレビも一家に一台ではなかったから
商店や散髪屋さんをしている家に
近所のみんなが集まってテレビを観ていたそうで
いつしか、うちにもテレビが来たときには
たくさんの人が、入れ替わり立ち代り
テレビを観におうちの中に来ていたとのこと
…ちょっと、微笑ましい

たった50年でこんなに大きく変遷を遂げた日本
これから50年後の日本は更にどのように変貌を遂げていくのだろう

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二世代前なら辛うじてその頃のことを
生で伝え、教えてくれる人がいます

私がおばあちゃんになったときに
自分の祖父母の頃からの日本の記憶と
自分が今ここにあるルーツを
少しでも、多く伝えられたら
それだけで、三世代分の記憶をつなぐことができる
その後に、自分の後に続く人がその記憶をつないでくれれば
四世代、五世代と記憶が紡がれる

ルーツを紡ぐ橋渡しを担うことは
なんだか、とっても素敵なのではないかと思います

だから、もっと、もっと
ルーツを紐解いて
なぜ、どのように私がここにいるか知りたいと
そして、次の世代が生まれたら伝える担い手になりたいと
ようやく、この年齢になって思うようになりました

ルーツとなる人や環境や時代や場所や出会いの
どれが、どのように欠けていても
自分がこの世に存在していなかったのだと思うと
生まれてきてこれただけでも凄いことだと
のんびりと生活している普通の日も
とっても大切に感じられます